停電で役立つ備えとは?新宗教の二世信者が北海道胆振東部地震で被災した話

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私は北海道に住んでいます。

1年前の2018年9月6日、北海道胆振東部地震で被災しました。

大きな被害に遭われた方に、心よりお祈り申し上げます。

私は幸い、被害が少ない地域にいましたが、2日間以上、電気の無い生活を強いられました。

この地震は、災害の備えについて考え直すきっかけとなったと同時に、新宗教である真如苑の二世信者だった私が「絶対に宗教をやめてやる」と思うきっかけとなった出来事でした。

被災して一年経った今、被災した時の状況や、被災して感じたことを書いていきたいと思います。

[st-cmemo fontawesome=”fa-exclamation-circle” iconcolor=”#ef5350″ bgcolor=”#ffebee” color=”#000000″ iconsize=””]ここからは、いち被災者の経験を時系列順で追った文章です。

停電への備えだけを知りたい方は、こちらをクリックしてください。[/st-cmemo]

目次

当時の私について

被災した当時、私は新宗教である真如苑の二世信者として、嫌だなーと思いながらも活動していました。

母が真如苑の熱心な信者で、物心ついたころには既に月に一度以上、真如苑に通うのが当たり前。

父は心の中では真如苑を信じていませんが、母のために活動に最低限つきあっていました。

信者として登録されているとはいえ、私には既に信心は全くありませんでした。

しかし「完全に自立するまでは母の言うことを聞いて、宗教活動をしなさい」と父に言いつけられ、親との付き合いのために仕方なく宗教活動を続けているという状況でした。

宗教活動をやりたくないのにやらされていること、そして当時発覚した父の難病によって、かなりのストレスが溜まっている状態で、私は地震に巻き込まれました。

ラジオの直後に大地震

2018年9月6日の深夜、私は「JUNK 山里亮太の不毛な議論」というラジオを聴いていました。

山ちゃんのトークが大好きで、その日も夜遅くまで起きてラジオを聴いていたんです。

[st-kaiwa1]はー今日のラジオもおもしろかった!さて寝るk……うわぁーっ!![/st-kaiwa1]

深夜3時にラジオが終わり、ベッドに寝転がって入眠しようとしていたその時、大地震が起こりました。

北海道は、比較的災害の少ない地域です。

台風が来ても既に熱帯低気圧、地震が起きてもせいぜい震度2という土地です。

そんな北海道で生まれ育った私は、初めて経験する大地震にびっくり。

どう対処すればいいのかよくわからず、ベッドのそばに置いている水槽が倒れないよう、しがみつくことしかできませんでした。

揺れがおさまったころには、こぼれた水槽の水で床が水浸しになった部屋で、呆然と立ち尽くしていました。

停電直後の様子

とりあえず、同じく北海道在住の両親に連絡して安否を確認したのち、インターネット依存症の私は、Twitterで呟いて友人たちのいるTLを確認しました。

みんなとりあえず無事で安心したと思いきや、部屋の明かりがすべて消えました。

[st-kaiwa1]て、停電した……。[/st-kaiwa1]

その停電がどれくらいの範囲で起こっているのか、当時はまだわかりませんでした。

状況を把握するために、たまたま家にあった手回し式の懐中電灯を持って、とりあえず外に出てみることにしました。

外は街灯も信号も全くついておらず、びっくりするほど真っ暗。

コンビニも臨時閉店。

どうやら近所全域が停電しているというところまで確認できました。

電線が切れてしまっているところもあり、電線の近くのアパートから住民が避難する様子がうかがえました。

パトカーが通りかかり、外に出ている人たちから停電している旨を聞いていました。

しかし、もっと被害の大きい他の地域に行かなければいけないとのことで、足早に去っていきました。

[st-kaiwa1]こんな真夜中の非常時に、警察官さんは家族や家の様子より、私たちを守るためにお仕事をしてくれているのか……。[/st-kaiwa1]

とりあえず、もうどうしようもないので帰宅。

びしょ濡れの床を掃除し、入眠を試みましたが、不安でなかなか寝付けません。

情報を得たいのでradiko(ラジオが聴けるアプリ)をつけ、北海道全域が停電していることを知りました。

朝方になってやっと眠れそうになったその時、大きな余震が起きました。

うとうとしていましたがベッドから飛び起き、地震に耐えました。

心臓がバクバク鳴って止まりません。

携帯電話を充電したい

少しだけ寝た後、いつも仕事のために起きている時間に。

働いている作業所から「今日は全員仕事を休んでください」との連絡が来ていたので、寝不足だった私は再度入眠(これが後に後悔する事態を引き起こします)。

昼過ぎに起床し、携帯電話でいろいろと情報を確認しました。

radikoをつけたまま寝てしまった私の携帯電話の充電は残り60%。

そんな中Twitterを確認すると、とある場所で携帯電話の充電ができるとの情報が!

遠いですが、ギリギリ歩ける距離です。

家を出発し、近所を散策しがてら充電できる場所に向かって歩きました。

近所のコンビニは全店閉店していますが、たまたま炊き出しを行ってくれている飲食店がありました。

ありがたくご飯をいただき、再出発。

しかし、長い時間をかけて到着したその場所ですが、Twitterの情報を聞きつけてたくさんの人が押し寄せ、とても充電できる状態にないという情報を今になって確認……。

結局充電は諦め、帰ろうとしたその時、営業しているコンビニを発見しました。

外にまで続く長い列。

飲み物はぬるいジュースとコーヒー、食べ物はスナック菓子しか残っていませんでしたが、ジュースとポテトチップスを購入し、帰宅しました。

真夜中の停電地獄

夕飯を食べ終え、暗くなった部屋の中で私は気づきました。

[st-kaiwa1]あれ……わたし、夜どうやって過ごせばいいんだろう?[/st-kaiwa1]

いつ電気が復旧するかわからないため、携帯電話のバッテリーは温存しなければいけません。

ポケットWi-Fiも電池が残っていましたが、こちらも温存したい。

本を読めば暇をつぶせそうですが、紙の書籍を手回し式の懐中電灯のレバーを回しながら照らして読むのは、不可能に近いです。

そんな私に残った選択肢は、Wi-Fiモデルで電波のつながっていないiPadを使って、kindleで電子書籍を読むことでした。

容量の節約のため、iPadにダウンロードしてあったのは、なぜか「帝一の國」全巻のみ。

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停電が続く不安で何もしていないと頭がおかしくなりそうだったため、とりあえず帝一の國を1巻から読み返しました。

[st-kaiwa1]帝一くんの入試対決は何度読んでもおもしろいなあ……光明くんかわいいなあ……なぜかテニプリの跡部様がたくさん出ている回があるなあ……。[/st-kaiwa1]

真っ暗な中でタブレットの光を浴びておりその日は昼まで寝てしまっていたせいで、全巻読み終わっても眠れそうにありません。

なので2周目……3周目……結局、真夜中まで眠りにつけず、帝一の國を読むしかなく、たまに頭の中を不安がよぎって泣くという、不思議な夜を過ごしました。

携帯電話を充電したい Part.2

どうにか帝一の國で一晩を越した翌日。

携帯電話の充電は20%。私の住んでいる地域はまだ電気が復旧しそうにないため、どうにかして携帯電話を充電したいと思い、街中に移動しました。

すると、電気が復旧した地域の役所で携帯電話の充電サービスをやっていました。

しかし、1回に充電できるのはたった5分。

3%しか増えません。

どうにか充電を増やすために役所を何往復もしました。

一緒に並んでいたおばさまが近所の電気の復旧情報を教えてくれて、温かい人の繋がりに、強く感謝したことを覚えています。

その後、その役所を通りかかった健診車が充電をさせてくれたおかげで、携帯電話の電池は50%まで回復しました。

母の言葉と決意

Twitterを確認すると、ひとりの友人の家の電気が復旧したとのこと!

私の家の電気の復旧ももうすぐかな……でももう夕方が近づいてきた……。

今日の夜も、昨日みたいに不安な状態で漫画を読んで過ごさないといけないのかな……と考えていたとき、母から電話が来ました。

[st-kaiwa7]あんた、今度の旅行のためのパスポートちゃんととった!? え、まだなの!? いいかげん早くやりなさい!![/st-kaiwa7]

この旅行とは、真如苑(宗教)の海外イベントのための旅行でした。

[st-card id=302 label=”” name=”” bgcolor=”” color=”” readmore=”on”]

どうやら実家は既に電気が復旧していた様子で、不安だった私に心配する言葉をかけることもなく、宗教旅行の手続きについて怒鳴ってくる母。

[st-kaiwa1]この人は、私のことより宗教が大事なんだ……。[/st-kaiwa1]

手続きが遅れていたことは事実なので謝らなければいけませんが、母と宗教に対する強い怒りを覚えました。

信じてもいない宗教のために、なんでわざわざ海外の宗教行事に参加しなければいけないのか……なんで私は怒鳴られなければいけないのか……。

[st-kaiwa1]絶対にこんな宗教やめてやる!! 例え両親と絶縁することになってもやめる!! もう一生こんな思いはしたくない!![/st-kaiwa1]

いつの間にか時間は夕方。

外が暗くなりかけており、停電の中、こんな精神状態で夜をひとりで過ごせるとは思えませんでした。

そこで私は、電気が復旧した友人に連絡し、一晩泊めてもらうことにしました。

友人に会ってすぐ、涙が止まらなくなり、しがみつき、宗教のことをカミングアウトしました。

その後、煌々と明かりがついた友人宅で、なぜか余っていたお酒で酒盛りをし、ボードゲームで遊び、気絶するように就寝……。

翌朝、家に帰るころには、電気が復旧していました。

数か月後……私が両親を説得し、宗教を退会したのは、また別のお話です。

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震災で得た教訓

とにかく停電に悩まされ、精神状態がぐちゃぐちゃになった震災でしたが、この震災で得た教訓があります。

[st-mybox title=”教訓” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]

  • 携帯電話とは別にラジオを常備する
  • 携帯電話に使える大容量バッテリーを持っておき、常に充電できる状態にしておく
  • 手回し充電器があれば尚よし
  • 懐中電灯は電池と手回しを併用できるものがいいかも
  • 不安でも可能であれば昼夜逆転しないよう、できるだけ夜に寝て、朝起きる
  • 暗い夜にできる暇つぶしはないか考えておく
  • 夜は電子機器のライトを浴びすぎないようにする
  • 充電をしたくなったら、まず役所周辺に行く
  • 避難所があれば即駆け込む(人と話せるだけで気分は楽になる)
  • 帝一の國は何度読んでもおもしろい

[/st-mybox]

……最後の最後に茶化してしまって申し訳ありません。

でも私は、本当に帝一の國に心を救われたんです。

改めて北海道胆振東部地震で被害にあわれた方に、心よりお祈り申し上げます。

また、現在も完全に復旧していない地域にお住まいの方、仮設住宅で暮らす方など、元の日常に戻れていない方の生活が、いち早く回復することを願っています。

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この記事を書いた人

新宗教「真如苑」の元二世信者で、多趣味なアラサー女性。円満に宗教を退会した現在は、宗教と適度な距離を保ちつつ生活中。

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