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漫画「ママの推しは教祖様」から、新宗教と信者の善悪について考える

2019年9月25日

数年前から、宗教の元二世信者の体験談を綴った漫画が、複数出版されています。

私は漫画になるほどの壮絶な経験をしていませんが、新宗教の元二世信者という同じ境遇の人間なので、気になって色々と読んでいました。

その中でも、特に「自分の考えと近いところにあるな」と思えたのが「ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~」という漫画でした。

特にこの漫画で注目すべき点は、宗教に陶酔する「ママ」の信仰が、本来のその宗教の教義とかけ離れてしまっている可能性が高い、という点です。

この記事では、漫画『ママの推しは教祖様」のママと宗教のあり方から、新宗教そのものの善悪について、私の考えを書いていきたいと思います。

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「ママの推しは教祖様」あらすじ

大好きなママが新興宗教にハマっちゃって…!?

「ママ、教祖様のこと信じてるから!」ウチの母親が、ある日突然新興宗教にハマっちゃった!? 純粋すぎる故に宗教にハマり、教祖様に感化されていく母親と振り回される著者、そしてハチャメチャになっていく家庭…!? 今だからギャグ多めで語れる、渾身の自虐宗教コメディエッセイ!

引用元:「ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~」|ヤングエースUP - 無料で漫画が読めるWebコミックサイト

この作品は、主人公であり著者のしまださんの母親が、新宗教にハマっていた思い出をベースに描かれた漫画です。

宗教二世の漫画は著者の味わった苦痛から、シリアスに描かれるのが一般的ですが、この漫画はほぼ全編ギャグテイストで、新宗教に関するママとのやりとりがコミカルに描かれています。

突っ込みどころ満載な宗教セミナーへの強制参加、謎基準で行われる漫画の処分、己を見つめなおす帳、教祖とのばったり対面イベントなど……衝撃のおもしろシーンが盛りだくさん!

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ちなみに、詳細な宗教名はわからないよう、様々な新宗教の教義を混ぜることで、全容をぼかしているそうです。

 

オタクならではのわかりやすい例え

しまださんはいわゆるオタクであるため、教祖にハマっているママを「アイドルを推しているオタク」に例えており、これがタイトルの元になっています。

他にも、ママの宗教をやめさせるかどうかを「夫の趣味のフィギュアを勝手に捨てる妻」に例えたり、宗教へのお布施を「ソーシャルゲームへの課金」に例えるなど……。

あまり宗教に触れた経験のない人にも、伝わりやすい表現をしているな、と感じます。

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とてもわかりみが深い……。宗教って、信じない身内から見たら、要するに「趣味」なんじゃないかと思える部分もあるんだよね。

 

ほとんどの宗教は悪ではない

そして何より共感したのは、ギャグ調に描かれつつも、宗教や信者の存在を強く否定しないスタイルを貫いている点です。

これは、主人公である著者のしまださんが、ママと新宗教に関するトラブルに巻き込まれつつも「ほとんどの宗教そのものは悪ではない」という考えを強く持っているからこその描き方です。

「宗教が悪でないのなら、なぜ無理な勧誘をしたり、周りに迷惑をかける信者がいるんだ!」とお思いの方も多いと思います。

この問題には、宗教を信仰しつつも、本来の教義とは別のものを心の中に作り出してしまう信者の存在が挙げられるのではないかと、私は考えています。

その代表例が、この漫画に登場する「ママ」です。

改めて思う やっぱり新興宗教そのものが悪いパターンというのは少なくて

個人の受け取り方で全てが変わるんだと

引用元:しまだ著(初版)「ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~」株式会社KADOKAWA(159ページ)

 

宗教で与えられるふたつのもの

私は、無理やり真如苑を信仰させられた数十年の中で、宗教の教義で信者に与えられる主なものは「生きる指針」「救い」のふたつであると感じました。

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もう宗教は信じていませんが、このふたつにはちゃんと意義があって、宗教は世の中から消えてはいけないものだと私は考えています。

 

「生きる指針」とは

1つ目の「生きる指針」とは、自己啓発のようなものです。

「こんな心構えで、こんな風に生活すれば色々うまくいって、みんなハッピー!」みたいなやつです。

信者は、宗教の指導者から生きる指針をたくさん聞かされ、それを実生活に活かすことで、人間的に成長していく可能性を秘めています。

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宗教のトップが指導する「生きる指針」そのものが社会的に考えておかしい宗教というのは、めったに存在しないと思います。

個人的には、教団そのものが反社会的行為を推奨している場合のみを「カルト宗教」だと考えています。

 

「救い」とは

そして2つ目の「救い」は、うまく説明するのが難しいのですが……。

要するに「理由付け」なのではないかと、私は考えています。

世の中には、科学で解明できない奇跡や、科学では救えない心の苦しみがあります。

そういうときに「この奇跡は○○様のおかげなんだ!」「いま苦しいのは、○○様が与えてくれている試練だから!乗り越えた先に喜びがある!」と理由をつけることによって、救われていく人たちがいます。

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宗教活動に積極的な信者さんのほとんどは、この「救い」が大きなきっかけとなって、宗教にのめり込んだのだと思います。

 

モンスター信者の正体

本来、この宗教から与えられるふたつは、両立してこそのものです。

しかし、宗教のトップが指導する「生きる指針」の解釈を大きく見誤ってしまったり、「救い」だけに陶酔してしまう信者がいます。

これが、教団側の意図しないモンスター信者の正体であり、この漫画の「ママ」なのではないかと思っています。

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宗教の教義って、実行や解釈が難しいものも多くて、入信したからといって全ての教義を実行できるわけではないだろうけどね……。

もしそれができるなら、仏教徒のほとんどが悟りを開いているだろうし。

 

別の何かを心に生み出したママ

ようするに洗脳状態とは 自分にとって盲信できる 絶対的なものを作り出すことなのではないだろうかと 実際にママを見てると思う

しかし ママは「心の成長をするため」と謳っている自己啓発系の宗教を 一時的に気分が良くなる まるで麻薬のような使い方をしている

引用元:しまだ著(初版)「ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~」株式会社KADOKAWA(131ページ)

ママが信仰している宗教は、おそらく「生きる指針」をたくさん教えてくれる宗教なのだと思います。

しかし、ママは大好きな教祖様が映像で話している教義を、ほとんど理解していない可能性があります。

家事を放置することや仕事をすっぽかすことは、ママの大好きな宗教の本来の教義と、かけ離れているはずだと思うのです。

 

また、教祖様や教団の偉い人が話す「生きる指針」を、ママが日常生活に活かしている様子も、ほとんどありません。

「己を見つめなおす帳」を実践しているようなシーンもありますが、教義のうわべだけをなぞり、本当に大事なことが身になっていない印象を受けます。

 

ママは、本当の宗教とは別の「ママの全てを肯定してくれる宗教」を、心の中に作り出してしまったのだと思います。

にに
ママが教団の意図しない方向に暴走しているこの状態で、果たして教団自体を「悪」だと言えるのでしょうか?

 

コミック限定、衝撃の描き下ろしは必見

こんな感じで、宗教そのものの善悪について考えさせられつつも、ギャグ調の本編をサクサク読み進め、描き下ろし漫画に進んだら……。

……この衝撃的なラストをバスの中で読んだのですが、変な声が出そうになりました。

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ネタバレはできません!ここからは皆さんの目で確かめてください!

 

宗教トラブルについて考える、最初の一冊に

この漫画への個人的な感想を一言でまとめると「宗教トラブルについて考え始めるための、最初の一冊におすすめしたい本」です。

宗教って、信者が起こす迷惑なトラブルや、過去に某宗教が起こした事件などから、「宗教団体=悪いもの」とレッテルを貼られることもあります。

しかし、この漫画をきっかけに、少しだけ「宗教団体」そのものと「信者」のあり方について知り、分けて考えてみるのもいいかもしれません。

にに
コミックだけでしか読めない衝撃のラスト、ぜひ読んでみてください!
にに
また、ヤングエースUPというサイトで一部の話が無料で読めるので、こちらでの試し読みもおすすめです。

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