「宗教二世問題」「二世信者問題」というような言葉……あなたは聞いたことがありますか?
ひと言でいうと「宗教を熱心に信仰している親のもとに生まれた子どもが、様々なトラブルに巻き込まれてしまう問題」だと、私は考えています。
私も「真如苑」という宗教を信仰している母のもとに生まれて、20年以上もイヤイヤ宗教活動をさせられていました。
現在は退会済みですが、信じてもいない宗教を信仰させられるストレスはすさまじく、このブログを作ったのもその怒りがきっかけです。
この記事では、まず「二世信者」とは何か、具体的にどんな問題が起きているかなどについて、当事者の視点から書いていきます。
この記事の内容は、あくまでブログ投稿者『にに』の一意見であり、インターネットの情報や憶測、ににの経験や感情から作成されています。
特定の宗教を誹謗中傷するために書いたものではありません。
また、この記事によって起きた損害などへの補償は出来かねます。
もし間違った情報が含まれていた場合には、コメントやお問い合わせ、Twitterなどからご連絡ください。
全てにご了承いただいた方のみ、続きをお読みください。
「宗教二世問題」って、そもそも何?
「宗教二世問題」という言葉は辞書に載ってはいませんが、最近はマンガや本などで体験談が広まり、社会のいち問題として少しずつ世間に認知され始めています。
まずは「そもそも宗教二世問題とは何か?」というところから、順を追って説明します。
「宗教二世」「二世信者」とは
「宗教二世」「二世信者」とは、親の信じている宗教に入信している子どものことです。
私の場合、宗教が新しいか古いか、信じているか信じていないか、子どもの年齢は若いか……などは全く関係なく、このような状況にいる子ども全員を指して呼んでいます。
また、宗教に入信したのがおじいちゃんまたはおばあちゃんからの場合は「三世信者」、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんからの場合は「四世信者」……と、数字が増えていきます。
[st-kaiwa1]逆に、自分から宗教を始めた信者さん本人を「一世信者」と呼ぶこともありますね![/st-kaiwa1]
「宗教二世問題」とは
宗教二世・三世・四世……という境遇に生まれた子どもの中には、トラブルに巻き込まれたり、心を病んだり、ひどい場合には暴力などの虐待を受けるケースもあります。
そのような「二世以降の信者を取り巻く問題」を、総称して「宗教二世問題」「二世信者問題」と私は呼んでいます。
※ここからは表記の都合で、二世以降の全ての世代の信者さんを「宗教二世」「二世信者」と呼びます。
もちろん、全員がそうなるわけではありません。
宗教を愛しながら、全く問題なく育つ子どももいるでしょう。
しかし「宗教」という性質上、トラブルに巻き込まれてしまう子どもが一定数いることを、個人的には問題視しています。
宗教二世の中には、信じていないけど活動を無理やりさせられている人や、信じているけど暴力や家庭問題に耐えられずに悩んでいる人などがいます。
[st-kaiwa1]ちなみに私は、20歳近くまで「宗教は信じているけど活動はイヤ」という状態で、それから先は「全く信じていないけど活動させられている」という状態でした。[/st-kaiwa1]
二世信者に何が起きているの?
当事者だった私が考える、宗教二世に起こっている問題の代表例は、以下のようなものです。
[st-mybox title=”宗教二世に起こる問題” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”” borderwidth=”3″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” title_bordercolor=”#757575″ fontsize=”” myclass=”st-mybox-class st-title-under st-list-border st-list-check” margin=”25px 0 25px 0″]
- 本人の意思に関係なく入信させられる
- 宗教中心の偏った思想になる可能性がある
- 宗教活動を無理やりさせられる子どもがいる
- 家の宗教が原因で周りから差別されることがある
- 人権侵害・虐待などの被害にあう可能性がある
- 活動の拒否や退会が簡単にはできない
[/st-mybox]
本人の意思に関係なく入信
子どもがある程度育った時点で親が入信して……というケースもありますが、宗教二世には、宗教の「し」の字もわからないうちに入信させられている人が多いです。
ちなみに私の場合は、生まれてすぐに入信させられたようで、私の下の名前を決める際に教団が関わっています。
物心ついたころ(小学生になる前)には既に教団施設に通っていた記憶があり、そのまま通わされ続けて育ちました。
しかし、私の察しが悪いのか、自分が所属しているものが「宗教」であること、宗教とはどういうものか、世間からどう見られるかを、中学生になるまで理解できていませんでした。
[st-kaiwa1]宗教というものが何かわからないのに、勝手に入信させられて活動をさせられるって、意思決定の自由を奪われているような気がするんです。[/st-kaiwa1]
また、もし子どもが育ったあとに親が入信する場合でも、親が子を勝手に入信させる可能性は高いと思います。
自立できる年齢でない場合、これを拒否するのはなかなか難しいでしょう。
[st-kaiwa1]「親子」という関係上、どうしても子どもが幼いうちは、子に対する親の強制力はとても強いです。[/st-kaiwa1]
宗教中心の思想に育つ
宗教では、道徳みたいなものを教わることが多いです。
食べ物を大切にしなさいとか、人には優しくしましょうとか……。
そういう一般的な道徳ならまだよいのですが、教団によっては「神に全てを託しましょう」とか「教祖様の言うことは絶対です」とか……。
子どもって吸収力があって、スポンジのように教わったことを学んでいくと、私は思うんです。
その状態の子どもが、本人の意思に関係なく、宗教の話を毎日聞かされて育つと……。
宗教活動をしていないおうちの子どもと比べて、偏った思想に育ってしまう可能性が高いです。
宗教中心で何がいけない?とお思いの方もいるとは思います。
確かに、宗教を信じることによって得られる「喜び」や「救い」もあります。
私が問題だと考えているのは、子ども本人の意志に関係なく教義を教え込まれていること。
そして「教祖様の言うことは絶対」系の宗教の場合、子どもの思想・行動の自由が奪われることです。
[st-kaiwa1]例えば私がいた宗教「真如苑」では、親からの圧力と「接心」というカウンセリングのようなものの結果、進学先を無理やり決められた……というケースもあります。
接心で進学先の鑑定を受けるのは全員強制ではないのですが、親からの圧力がかかると受けざるを得ず、こういうことが起きてしまいます。[/st-kaiwa1]
無理やり宗教活動をさせられる
子どもって、基本的に親の言うことは絶対守らなければいけない状況にいます。
そんな親という立場の人間が宗教をやっているのですから、ほとんどの二世信者にとって、宗教活動は絶対やらなければいけないものになります。
それを子ども自身が喜んで行えるのであればいいのですが……そうではない場合も多いです。
[st-kaiwa1]私の場合は、先ほども挙げた「接心」というカウンセリングのような修業がとにかく苦痛で……。
長時間、座禅のような状態で待機し、不思議な言葉を聞かされ、終わったら母から「言われたことをノートにまとめなさい」と言われて……。[/st-kaiwa1]
また、私の場合は無かったのですが、宗教の勧誘活動に強制参加させられる子どももいます。
これをさせられると、次の項目である「差別」にもつながっていきます。
周りからの差別
[st-kaiwa6 r]○○さんの家って××っていう宗教やってるんだって!やばくない?(笑)[/st-kaiwa6]
[st-kaiwa1]生まれたくて宗教やってる家に生まれたわけじゃないんだぞコノヤロー![/st-kaiwa1]
……すいません、熱くなってしまいました。
しかし、宗教を信じていない二世信者にとって、こんなに理不尽なことはないんです。
宗教の信者だからという理由で差別することは、私はいけないことだと思っています。
その宗教が世間で「カルト宗教」と言われようが、信者さんは宗教を愛しているだけであって、信じること自体は悪いことではないと思うからです。
それを前提で、今からちょっとひどいことを言います。
宗教を信仰している方には本当に申し訳ないですが、私の言葉の本来の意図を汲み取ってもらえるとありがたいです。
二世信者の中でも、自分の意志で宗教活動をしている人であれば、偏見や差別について「正しいと思えることをしているから」と、耐える理由にできるかもしれません(もちろん差別はいけないことですよ!)。
しかし、もし宗教を信じていない信者である場合、やりたくもないものをやらされて、それでさらに周りからヒソヒソされたら、耐える理由にできるものがほとんどありません。
信じてもいない宗教に身を置かれていることが原因で、偏見にさらされる状態になってしまっているからです。
これでは、ただただ理不尽です。
また、先ほど例に挙げたように、勧誘活動に参加させられた結果、友達から距離を置かれてしまう子どももいます。
[st-kaiwa1]宗教二世の勧誘活動に関するトラブルについては、こちらの漫画がわかりやすかったです。
「エホバの証人」という宗教を信仰している母のもとに生まれた作者さんの実体験が、せきららに描かれています。[/st-kaiwa1]
こういった差別の他にも、恋人とのお付き合いや結婚でトラブルが発生するパターンは多いです。
結婚前に、親の宗教について知られて「○○教の人なんかとの結婚は認めません!」と言われてしまったり……。
逆に二世信者の親が「○○教の信者じゃない人と結婚させるのはちょっと……入信してくれない?」と、子どもの恋人に迫ったり……。
[st-kaiwa1]このブログの問い合わせやTwitterで、宗教の信者さんとの恋愛や結婚について、相談をたくさん受けます。
こういったトラブルに関する私の考えをまとめた記事もあるので、ぜひ読んでみてください。[/st-kaiwa1]
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人権侵害・虐待
これは一部の宗教のみに当てはまるものですが、教団自体が人権侵害や暴力などの行為を推奨している場合、子どもは大きな影響を受けます。
宗教名は伏せますが、私が「二世信者の生活に大きな影響が出そう」「これって社会的にどうなの?」と思う例を挙げていきます。
[st-mybox title=”宗教の教団が推奨する「?」な例” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”” borderwidth=”3″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” title_bordercolor=”#757575″ fontsize=”” myclass=”st-mybox-class st-title-under st-list-border st-list-check” margin=”25px 0 25px 0″]
- 子どもへの暴力によるしつけを推奨する
- 輸血を拒否することを美徳とする
- 人間関係(友人・恋人・結婚相手など)に制約をかける
- 進学そのものの制限や、進学先の限定
- 全財産を教団に寄付させる
- 教祖や教団内の指導者が、法律に触れるような犯罪を指示する
- 教団に関係のない人物に関する本を出版し、本人の意思と誤認されかねない表現をする
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※全ての宗教に当てはまるものではなく、あくまでごく一部の宗教の例です。
こういった環境に、自分の意志で飛び込んでいく一世の信者にとっては、問題ないかもしれません。
しかし、二世信者は自分の意志ではなく、親の意志でこの環境に置かれます。
他にもまだまだ例はあり、娯楽の禁止や服装の制限などをするような宗教もあります。
[st-kaiwa1]漫画やゲーム、テレビ、流行りのお洋服などに、触れたくても触れられずにそのまま大人になった二世信者さん……結構いるはずです。[/st-kaiwa1]
また、これらの項目は「教団」そのものに疑問を感じるケースですが、教団の意志に関係なく暴走してしまう信者さんも結構います。
信者さんの暴走は、教義に関係なく、あるていど信者数の多い教団では必ず起きると言っても過言ではないと思います。
例え教団自体が健全な団体であったとしても、こうなってしまっては子どもはどうしようもありません。
[st-kaiwa1]宗教に関係なく、どんな集団でも人がたくさん集まれば、必ずトラブルは発生するものだと私は考えています。
「教団の暴走」と「信者の暴走」の違いについての私の考えは、下の記事で書いています。[/st-kaiwa1]
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簡単にやめられない
[st-kaiwa6 r]そんなに宗教がイヤなら、さっさとやめちゃえばいいじゃん![/st-kaiwa6]
[st-kaiwa1]簡単にやめられたら苦労しません![/st-kaiwa1]
……また熱くなってしまってすいません。
他の項目でも述べましたが、どうしても親は子よりも強い立場です。
本来は親と子であっても1対1の対等な人間なのですが、自立をするまでは親に経済的に支えられており、住む場所・食事・洋服・学校に通うための体制などを整えてもらっていることがほとんどだからです。
もしこの状態で親の宗教を拒否した場合、「そんなにイヤなら出ていけ!」とか「宗教活動しないなら家から追い出すよ!」とか「宗教やめるなら仕送りストップします!」とか言われる可能性があります。
[st-kaiwa1]さらに三世や四世以降ともなると、親だけじゃなく家族・親族の大半からとてつもない圧力をかけられるかも……。[/st-kaiwa1]
そんなことある?とお思いになる方もいるかもしれませんが、宗教二世には割と普通に起こりうることです。
宗教って、信仰するとその人の心の根っこが宗教で構成されていく性質を持っているものなので、宗教を否定されると人格否定をされるような気分になるんです。
子どもから宗教という自分の根幹を否定された親のショックは、すさまじいものになります。
宗教内のママ友と自分を比較して「私の子への宗教教育はうまくいかなかった……信仰心が足りないから……?」などと考えてしまう親御さんもいるかもしれません。
なので、全力で退会を阻止してくる可能性がそこそこあります。
[st-kaiwa1]私の場合は、真如苑をあまり信じていない父に「やめたい」と相談したら「社会人として経済的に完全に自立するまでは、母の活動に付き合いなさい。」と拒否されました。
これは私が精神疾患を持っているからなのですが、今考えれば、子が社会的支援を受けているからといって、親が子に宗教を強制する権利はないと思うんですけどね。[/st-kaiwa1]
こんな感じで、二世信者が宗教をやめられるのは基本的に自立した後になりますし、やめられたとしても親子関係が悪化する可能性大です。
しかも、宗教によっては退会方法そのものが無かったり、退会するには教団職員と面談が必要な宗教もあります。
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この状態で、簡単に宗教をやめられると思いますか?
[st-kaiwa1]私の場合、退会を拒否されたら引っ越し・電話番号変更などで完全に行方をくらまして、絶縁してでも絶対に退会するという覚悟を持って挑みました。
信者の子どもに生まれたというだけで、なんで失踪する覚悟なんて持たなければいけなかったのでしょう?
宗教さえなければ、家族は大好きなのに……。[/st-kaiwa1]
幸せな二世信者もいる
ただ、先ほども述べましたが、注意してほしいのは「これらの問題は、二世信者全員に当てはまるわけではない」ということです。
私が伝えたいのは、宗教最高!ハッピー!という二世信者もたくさんいるけど、心を痛めている二世信者もいる、ということです。
二世信者全員を完全にひとくくりにしてはいけないと思いますし、自らの意志で楽しく宗教ライフを過ごしている二世信者さんの宗教活動が邪魔されることも、あってはならないと思います。
この記事で説明しているのは、あくまで困っている人たちの話です。
まとめ
この記事では、宗教二世問題を知る第一歩として、まず問題の概要を説明しました。
しかし「どうして子どもは親の宗教に入信させられるの?」「宗教二世問題を解決するために、できることってあるの?」など、まだまだ疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
不定期にはなってしまいますが、これから宗教二世問題にまつわる様々な疑問について、シリーズとして情報を発信していく予定です。
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