前回は、宗教二世が両親に「宗教をやめたい」と伝える前に、おすすめしたい事前の準備についてお伝えしました。
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今回は、両親に伝える内容の方向性について、私が実際に決めたときの方法をお伝えします。
望むことリスト
①の心構えを実践してくださった宗教二世の方は、現状把握と未来予測をメモに残していると思います。
そこから私は、それらの情報を使って説得の内容を考えていきました。
【現状の整理や未来の予測をまだ立てていない方はこちらをクリック】
まず、ここまででまとめた自分や家族全員の事情など、全てを踏まえたうえで「自分が望むことリスト」を改めて作りました。
私が望んでいるのは、以下の内容です。
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ににが望むことリスト
- 私は宗教活動を全くしなくていい状態になりたい。
- 母の生きがいである宗教を奪いたくはない。
- 父に良い晩年を過ごしてもらうため、絶縁はしたくない。
- 宗教は違っても、仲の良い家族でいたい。
- 病気を寛解し、精神的にも経済的にも自立したい。
- 親孝行がしたい。
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自分が宗教をやめたいというところまでは元から決まっていますが、自分が宗教をやめた後、家族にはどうなってほしいのか?自分はどうなりたいのか?
それぞれの願いの矛盾は気にせず、書き出してみました。
これを書き出すことで、自分の気持ちがより明確になりました。
また、このあと説得の具体的な内容を決める際に、自分の軸がブレにくくなる効果があると思います。
落としどころ
そして、ここから全ての願いにできるだけ近づく、最良の落としどころを考えました。私の場合はこのような感じです。
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ににの落としどころ
- 私だけ宗教を退会する。父は私の病気が寛解するまで母に従うことを望んでいるが、そもそも宗教活動が寛解を妨げているため、やめざるを得ない。
- 退会ではなく活動休止にする場合、母から活動を勧められた時に、自分の意志ではなく情にほだされて活動を再開してしまう可能性がある。そうすればまた体調が悪化することも考えられるため、正式な手続きをもって退会する。
- 母にとって宗教活動は大切なものなので、母が宗教活動で困らないよう、宗教に関する事務作業や、集会の準備は今まで通り手伝う。それらの手伝いは現在も苦ではないため、体調への影響は少ない。
- 家族が今まで通り仲良くいられることや、父の体調が良くなることを望んでいるが、宗教ではなく別の形で家族のためになるよう行動する。
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この方法であれば、私たち家族のそれぞれの望みを最大限叶えられると考えました。
私の事例のポイント解説
ここからは、どのように私の望みを説得に反映しているのか、具体的に解説します。
あくまで私の事例なので、ご興味のない方は読み飛ばしていただいて構いません。
体調が悪いからやめる
まず、宗教をやめる理由については「体調に影響が出ている」ことを前面に押し出すことにしました。
両親が「具合が悪くなってまで宗教をするのはよくない」と考えてくれると信じたからです。
正式にやめる
「手続きをして正式に退会する」と宣言するのには理由があります。
実は私、精神疾患の悪化が理由で一度活動を休ませてもっていたことがあります。
しかし体調が回復してきたときに、母の誘いで情にほだされ、活動を再開してしまいました。
今回もこれを繰り返してしまうと全く意味がないので、きっちりケジメをつけようと思ったのです。
落としどころは「お手伝い」
落としどころとしては、「教団施設に行ったり、集会やイベントには参加しないが、それ以外でできる手伝いはする」という条件を考えました。
母は機械音痴なので、私が手伝わなくなると、できなくなることが複数あります。
私は「自分がやめたいだけであって、母の趣味の邪魔はしたくない」というスタンスですので、これにより私と母の両方の願いが叶うと考えました。
私はパソコンやスマートフォンでの作業が好きなので、もともと母の事務作業の手伝いは苦ではありませんでした。
なので、これからも続けていこうと思います。
別の方法で幸せを見つける
宗教の信者には「宗教をやめること」に不安を感じる人が多いように思います。
今まで与えられていた「救い」がなくなってしまうからです。
母も「家族一丸となって宗教に取り組んだほうが幸せになれる」と考えているので、その不安はすさまじいものでしょう。
特に父の難病に関しては「みんなで宗教活動をすれば奇跡が起きるかも」とまで言われていますから、奇跡が起きなければ、私のせいになってしまうかもしれません。
なので、「宗教で幸せになることは私には無理だが、他の方法で家族に貢献する」という話をすることにしました。
宗教をしていない人が全員不幸なわけではないことは、熱心な信者の母でもうっすらわかっていることだと思います。
「私は私で幸せを探すし、お父さんの病気に関しても宗教に関係なく寄り添っていくから、私たちは大丈夫だよ」という「安心感」を母に与えたいのです。
軸のブレない説得を
私は学生の頃、入試に向けた面接の練習が苦手でした。
「人の言うことを聞いていればいい」というスタンスで生きてきたので、「自分の考えをぶれることなく表現しろ」と言われても無理です。
薄っぺらい言葉ばかりになり、それぞれの言葉が矛盾するため、破綻が生じます。
しかし、その面接練習で私は鍛えられました。
人にものを伝えるときに大切になる「軸の決め方と振る舞い方」を学べたのです。
ここまでしっかりと自分の考えをまとめたのは、話の「軸」をしっかりと定め、矛盾の発生や、一番伝えたいことがわかりにくくなる可能性を少なくするためです。
時間はかかるかもしれませんが、自分の考えにおける「軸」を事前に定めることを、これを読んでいるあなたにもおすすめしたいです。
次回はこれを踏まえたうえで、いつ、どこで、どのように伝えるかについて書いていきます。
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