信者の説得は、やむを得ない事情が無い限りおすすめしないというのが私の考えです。
それを踏まえた上で、前回は説得に使うと失敗する可能性が高い言葉をご紹介しました。
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今回は、逆に私の新宗教に対する信心が消えるきっかけとなった言葉を分析してみたいと思います。
効果的だった言葉
私に宗教をやめてほしいと説得し、実際に成功させたのは私の元恋人です。
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一度は逆効果な言葉で説得に失敗した彼ですが、数日後に私にかけた言葉は全く違うものでした。
それがこちらです。
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この前はごめん。
もともと宗教が嫌いで、拒否反応が出て強く当たっちゃったんだ。
僕はその宗教は信じられないけど、ににのことが好きだから、ににが信じているっていうならそれでもいいよ。
これからも付き合っていこう。
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読んだ方はまず、直接的な説得の言葉がひとつも入っていないことに驚くかもしれません。
しかし、これは私にとって、とても有効な言葉だったのです。
具体的に効果的だったのは、以下の点であると考えています。
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- 相手を否定したことを謝罪
- 多様性を認める
- 落とし所を見つける
- 無償の愛
- ゆっくり優しい、いつもの話し方
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相手を否定したことを謝罪
これは一度説得に失敗しており、その時に相手が取り乱していた場合には必須だと思います。
「なんで正しいことを言った私が謝罪しなければいけないの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、宗教の話題だということを一旦忘れて考えてみてください。
あなたが相手の心にショックを与えたことは事実です。
今後の説得を円滑に続ける為にも、相手を傷つけた自覚がある場合にはまず謝罪をおすすめします。
また、彼の「もともと宗教が嫌いで、拒否反応が出て……」という言葉のように、どうして相手を傷つける言葉を言ってしまったのかを添えると、相互理解が深まりやすく、より効果的かもしれません。
謝罪の言葉を聞けた私は、とても安心してその後の話を聞くことが出来ました。
多様性を認める
これは彼の「ににが信じているっていうならそれでもいいよ。」という言葉が該当します。
宗教は「生きる指針」を示すことが多いという性質があります。
そのため、信者の考え方が画一化されやすく、相手もその宗教の考え方に染まっている可能性が高いです。
この教義に染まった相手を否定するとケンカまっしぐらですが、あえてこの性質を逆手にとるのはどうでしょう?
考えの違う相手を肯定することによって、考え方の画一化を図る宗教の指導者よりも、深い懐を見せつけるのです。
私はこの言葉を聞いて「こんなに心の広い人と出会えて私は本当に幸せだ。」と思いました。
そして、この懐の深さを示す行為によって「なぜ彼はうちの宗教を信仰していないのに、こんなに素敵な人なんだろう?下手したら〇〇様よりも懐が深いのでは?あれ、うちの宗教って……。」という疑念を後に植え付けるトリガーにもなりました。
落とし所を見つける
前回の説得の時に彼は「宗教をやめないなら別れる」と宣言しました。
しかし、今回の彼は違いました。
宗教をやめるか別れるかという0か1の考え方ではなく、「自分は信仰しないけど相手は信仰しているままでいい」というお互いの考え方を潰さない、落とし所となる選択肢を提案したのです。
この提案でさらに懐の深さを見せつけられた私は、「そのままのあなたでいい」と肯定される喜びや、彼との関係を保てる幸せを感じられました。
無償の愛
それぞれの宗教によって事情はちがうかもしれませんが、宗教の本質のひとつに「愛」と「救い」があるのではないかと私は考えています。
信仰対象や指導者は常に信者ひとりひとりを見守ってくれていて、愛をもって導いてくれるというものです。
しかし、宗教の中でも特に新宗教にはノルマのあるものが多いように思います。
信仰している年数、勧誘に成功した数、読んだ本の数、献上した金額……。
指導者は「全ての人を救う」と言うかもしれません。
しかし実際には、普通の人より信者の方が幸せになれるし、これらの数字をより多く出せた方が救われて幸せになれる、という結論になってしまう宗教も多いはずです。
彼が今回、私に求めているものは「お互いの考えの尊重」くらいです。
これは、そもそも人間関係としては当たり前のことです。
彼は私にノルマを課していません。
彼にとって、私と付き合うことでのお金などの物理的な得はありません。
むしろ新宗教への風当たりは強く、この先も結婚や出産、近所づきあいなど、余計なトラブルが起きる可能性だって考えられます。
なのに、私に「それでもいい」「それでも好きだ」と言うのです。
彼の愛は「無償の愛」なんです。
これが私にとって「うちの宗教の信仰対象や指導者よりも、彼の方が愛と救いを与えてくれている」という、もうひとつのトリガーになりました。
また、心構え編で「赤の他人を説得するのは時間の無駄」と書きましたが、もうひとつの理由がこの「愛」です。
赤の他人に無償の愛を与えることはとても難しいので、身近な人よりも赤の他人のほうが、説得の難易度が高いと私は考えているからです。
ゆっくり優しい、いつもの話し方
信者にとって、自分の中の常識と全く違う話をされることは負担が大きく、頭の中での情報整理に時間がかかります。
前回の彼の早い口調や馬鹿にするような態度はケンカの元になりましたが、この時の彼の話し方はとても優しいものでした。
あなたの思いが相手にしっかり届くよう、ゆっくり丁寧に、そして優しく自分の思いを伝えると効果的だと思います。
もし、無理に普段の自分と違う話し方をすると違和感が生まれそうという場合には、宗教で揉める前の今までと変わらない話し方をしてみるといいかもしれません。
言葉以外のテクニック
実はこの記事を書いている途中で、読者の皆様にまだお伝えできていない重要な気づきがありました。
ここからは、説得にあたって注意しなければならないことについてご紹介します。
長期戦を覚悟しよう
説得に成功した彼の言葉の中には、直接的な説得の言葉は入っていませんでした。
しかし、彼の言葉は数週間という時間をかけて私の心にじんわり浸透し、効いていきました。
これらの成功ワードを使って穏便に相手を宗教から引き離したい方は、長期戦を覚悟してください。
特に熱心な信者さんは、私のような不真面目だった信者よりもかけてきた時間もお金も桁違いでしょう。
そして、それらを思い返して「もう私は引き返せない、やめられない」と感じ、逆にのめり込んでしまう可能性もあると思います。
信者の苦しみに寄り添い、長い目で見守ってくれると、苦しんだ元信者の私としては嬉しいです。
のめり込んでしまうのも、疑念が生まれたことによる一種の好転反応かもしれません。
もし相手から「宗教を疑いはじめている」という話をされたら、その時は冷静にあなたの考えを聞かせてあげてください。
まあ「こんなに素敵な人と出会えたのは○○教のおかげ!」という、のめり込み方をしてしまうリスクもありますが……。
一番大事なのはあなた
私は説得をされた当事者ですので、今までは説得をされる信者側のメンタルについての解説をしてきました。
しかし、一番大事なのは、あなた自身です。
きっと説得をしようとしている方々は、相手のためを思ったり、自分と相手の関係のために説得をしようと考えている方がほとんどだと思います。
しかし、あなた自身が必要以上に苦しんだり、あなたの体調に影響が出ては元も子もありません。
あなたの人生はあなたのものであり、相手の人生は相手のものです。
あなたが相手に責任を感じて辛くなるまで無理をする必要はありません。
辛くなったら遠慮せずに、その関係を手放してください。
それがお互いのためになることだと思います。
あなたは一人ではありません
シリーズ「宗教信者を説得したいあなたへ」は、今回で最終回です。
これらは、あくまで私の経験談からの推測です。
なので、私が言う失敗ワードを使って成功する方や、おすすめの方法を使ったのにうまくいかない方もいると思います。
宗教信者の説得の背景は人それぞれです。
全てを鵜呑みにせず、ご自身で考えて判断なさった上で、これらの情報を活かしていただければと思います。
最後に、身近に宗教の信者が居て、説得を余儀なくされる皆さん。
あなたは一人ではありません。
辛いことや苦しいことがあれば、コメントやTwitterでお声がけください。
私は頭がいいわけではないので、解決に結び付けることはできません。
でも、あなたの思いを聞くことはできます。
私の経験が、少しでも読者の皆様のお役に立てば幸いです。
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